インディゴ
見つめあう二人。
時もネジを緩め、静かに息を潜め見守る。
そのやわらかい褐色の肌に、
インディゴの胸飾りがよく映える。
時を越えて愛し合う二人。
かつては許されない仲だった。
互いに惹かれあい、
遠くから交わす視線。
ただそれだけ。
違う部族に生まれてしまっただけなのに、
それでも二人は互いを求め、
ついにはそこから逃げ出す。
遠くへ…遠くへ…
でも女は飛んできた矢で死んでしまう。
愛の精霊のいたずらは彼女にとっては、
致命傷だったのだ。
男は泣きながら彼女を抱え、
褐色の大地にただただ咆哮する。
その叫びに狼が悲しく声を返す。
まだ大地の神々が人々に、
啓示を与えていた頃の話だ。