2017-09-11から1日間の記事一覧

悪夢

その夜私は頭まで毛布をかぶり、ぶるぶると震えている。 冷や汗でびしびしょだ。 犬の遠吠え。闇が動き出したのだ。生物はみな息をひそめる。 ドクン…ドクン… 冷や汗のせいでお腹が冷えて痛い。 闇が迫ってくる。犬の吠き声が遠のく。闇にのまれていく。 気…

月夜

-2- 果樹園の木が月に照らされて、近くの木はくっきりとしたコントラストで、葉の何枚かはその受けた光を空中へと返している。 遠くに見える木はボンヤリとしたシルエットで、やわらかく映る。 私がそんなおとぎ話のような、風景を眺めていると、 旧友が…

月夜

-1- 私は靴を片手に廊下の窓から外へと抜け出す。みなすでに寝静まってる時刻だ。 家を出てすぐ空を見上げる。「よしこの月だ…」 濃い青のグラデーションに、そのダウンライトのような明かりを確認すると、すぐにそのやさしくクリアな光が照らし出す光景…

置き去られたモノ

数人の子供が、この乱雑な部屋に入ってくる。 みんなこの部屋に、いろんなモノを置きにくるのだ。 彼らもそうだ… 何なのかも分からずさっとそれを置き、機械のような表情で出て行ってしまう。 扱いが分からなかったのだろうか、どうやら手に余すようだ。 子…

スコール

-2- 脅威が去った後、私は薄暗い部屋のなか、無垢木のテーブルの上のランプのゆれる光と、香の煙の向こうの窓…レースカーテンが引かれた、モノクロームの世界を見入る。 見るといっても実際は何も見ておらず、ただボーっとしているだけで、 時折何らかの…

スコール

-1- この夏はなつらしくない。梅雨があけても真夏感はなく、いつも決まって夕方になると、雨のにおいがしてきて、少しすると雷と共に雨が降り始める。 いくらその日が晴れていても、日が沈みかける頃には、雨雲が雷と手をとってやってきて、空を感傷的な…

いねむり

午後の木漏れ日の中で、ふと眠りにつく。 昼下がりの太陽のせいか、まぶたの裏が焼け付きすごくまぶしい。 だがすぐに心地よい、気だるさに吸い込まれていく。 そして私は軟性のマグカップの船にのって、イメージの練りアメの中を漂う。 ゆらり…ゆらり…ゆら…