かげうさぎ

ねえ坊や、もうおやすみなさい。
ううん、もうちょっとお話しして。
いいわよ、じゃあねうさぎさんのお話しをしてあげようか。
えっ、うさぎさん？
そう、うさぎさん。いつもみんなを見守っているんだよ。
あ、分かった、お月様のうさぎさんのことでしょ。
うん、月のうさぎさんもそう。だけど、違うの。
かげうさぎさんのお話しなんだよ。
かげうさぎ？
そう、かげうさぎ。夜になってねみんなが寝るとかげうさぎさんたちも一緒に寝るの。みんなに分からないように物陰に眠るのよ。

それだと気づかないよ。
そう、それでもいいのよ。見つからないように眠るのよ。みんながかげうさぎに気がついてビックリしないようにね。
そうなんだ、かげうさぎは優しいんだね。でも、僕、かげうさぎに会いたいな。
そうね、かげうさぎは臆病だからね。でも坊やが寝てると安心して近くの物陰にに寄ってくるんだよ。
じゃあ、僕はいつもかげうさぎと一緒に寝てるんだね。
そう、いつも一緒にだよ。そろそろ、かげうさぎも寝る時間だからおやすみよ。
うん、おやすみ。寝る前に、おやすみのキスをして。
分かったわ、愛おしい坊や。おやすみ。