野生

光る夜の
野生の動物たちが
静かにうごめく

息を潜めて
暗闇の中をまるで幻影のように
自らを見つけられるのを
避けるかのように

ともし火をまぶたに宿しながら
閉じた瞳には
まだ星空の残像が残るんだ

うごめく夜を感じて
ふいにざわめく危機感に
命の尊さを思う

全てはあの街に置いてきた
過去も未来も
あの通りの角に

それでもなお
ここでは生々しい生を
意義を感じてしまう

研ぎ澄まされていく感覚は
忘れていた野生のそのものか

やがて白む太陽に
むき出しの大地が光を讃え

影を引き離されたばかりの
世界の刹那と
起き抜けの不完全な思考は
互いに溶け合い

しまいには、私が
存在としてこの朝に沈殿するんだ

日が昇るたびに
私は眺めるだろう
遠く遥か彼方のあの街を

そして再び前を向き
ひたすらにまた旅をする
そうひたすらに