汽車

あの日のノスタルジーの風景に
思いを馳せて

汽車がモクモクと白煙を巻き上げる
遠くの方の鉄道橋を行きすぎる

影のようにまで落ち着いた
アーチのシルエットに
汽車の窓から灯火が溢れる

乗客は様々で、小さく
でもすごく精巧な
作り物のようにも映る

あたり全体が燃える夕日の色に染まり
行き交う少年少女の頬を
オレンジに染める

僕はそんな絵画を眺めている

細胞の一つ一つが憶えている
時が充満する

流れる時間の中
目の前の静止した時に想い馳せた

そう、もう黄昏時はとっくにすぎた