花瓶

冷たく、ヒンヤリとした
陶器の花瓶が言う

「死を思え」

誰に向けてではなく
その言葉を外へと発散している

しかし、その冷気は
それとは裏腹にとても美しい

生けられた花が
野生の精気をたたえたまま
ただその冷気によってか
美しくそこにあり

静かに静かに
ゆっくりと朽ち果てていく

枯れ落ちた花弁の一枚にさえ
その美しさは宿っていて
朽ち果ててもなお
それを讃えている

「死を思え」

きっと次に生けられる花も
このように美しく散って行くのだろう